howattoのチーズケーキ -これは単純に“チーズケーキ”と呼ぶことはできない…!-
私の中で、howattoの幻のメニューとも言えるのが、『チーズケーキ』。
食べたことある人ー???
howattoファンの方なら、ほとんどの方はシフォンケーキを毎回口にしておられるかと思いますが
「チーズケーキもあるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
もともと、お菓子の性質上、涼しい時期にだけしか販売していないということもあり、ほとんど出会えないのが現状です。
(2019年度実績では、howatto販売66回のうち7回…! レ…レアだ…)
だ・か・ら・な・の・か!?
私…シフォンケーキ以上に、howattoのチーズケーキのファンなのかもしれません…(たぶん出現回数が低いがゆえにそう思ってしまうという可能性もあり)。
howattoのチーズケーキは単純に「チーズケーキ」という名称で片づけてしまうにはもったいないぐらいのスペシャル感があふれてるんです…!
今話題の『バスクチーズケーキ』もおいしいけれど、そんなの目じゃない…と私は思っています(真剣)。
カテゴリーとしてはベイクドチーズケーキなんだけれど、トロリとした食感で、カットするとそこから溶け出しそうなぐらいのレア感。
その秘密は、極力小麦粉の量を少なくして、チーズと卵と砂糖の分量で柔らかさを調整してするところにあるそうです。
焼き加減ももちろん大切で、焼きすぎることなく、高温で表面をあぶるようなかたちにしているのだとか。
そして使っているのは国産のチーズをブレンドしたもの。
1種類のチーズを使っているのではなくて「ブレンド」してるだなんて…衝撃!
このブレンドに行き着くまでにも当然試行錯誤があって、同じレシピでチーズだけ変えて焼くことを繰り返し、納得のいくチーズを見つけ、さらにブレンドすることに行き着いたのだとか。
いつものことながら、完成までにかけてる手間と時間に感謝です…。
そして、チーズケーキに欠かせない酸味は、レモンではなく、なんと徳島産のゆこうを使っているというポイントも。
これにも試作を重ねて、レモンや甘夏、スダチなども試したうえで、
ゆこうがベストだったという経緯がありました。
でも、なんといっても私がこのチーズケーキをこよなく愛するのは、
チーズケーキの“底の生地”なんです!
レアチーズケーキやベイクドチーズケーキを作ったことがある人には分かると思うんですが、ビスケットやクッキーを砕いて、溶かしたバターと混ぜて焼き型の底に敷き詰める、アレです。
私もたまーに自宅でチーズケーキを作ることがあります。
でも、いつも使うのはスーパーで買ってきた市販のマ●ービスケット(汗)。
しかし…当然のことながらhowattoが市販のものを使うわけがありません!
底の生地のためだけに、徳島県産の全粒粉でクッキーを焼いて、それを砕いて使うというこだわりよう…(砕くのもったいなーい)。
砕く側のhowattoの裕美ちゃんも実際に複雑な気持ちになっているそうなのですが(笑)、クッキーを焼いて砕くことで実現する、ほどよいザクザク感がサイコーです。
それだけではなく、一番私を惹きつけるのはシナモンとナツメグでスパイシーなところ♪
裕美ちゃん曰く「シフォンケーキって万人受けするというか、誰にも好かれるものだと思うんだけれど、チーズケーキについては主張したかった」
とのことで、
「嫌いな人がいてもいい。でもこれを好きな人にとっては“たまらん!”というお菓子にしたかった」そうなのです…!
howatto裕美ちゃんの「究極の好みの味」にしているんだそうですが、これが私の心にグサグサと刺さってしまったため(良い意味で)とりこ(というか中毒)になっているわけです。
ちなみに、今回このチーズケーキのこだわりを取材したとき、howattoの根幹になっているともいえる裕美ちゃんのふか~い想いを聞きだすことができました…。
「howattoのお菓子に共通することって、“どれもぎりぎり持って帰れる”というところにあると思います。
以前菓子メーカーで働いていたときは、
流通させるために(壊れないように、日もちするように)お菓子を丈夫にする必要があった。
そうすると硬くなって水分もなくなってぱさぱさしたものになって、自分の思うおいしさとは違ったものになってしまうこともでてくる。
その反面、howattoでは、
ほんとうに自分がおいしいと思えるものだけを作りたいと思っています。
たとえば、みずみずしくて3日しか持たず、持って帰るときは丁寧にしないとつぶれちゃうシフォンケーキと、一週間日持ちして、入った袋をブンブン回しても壊れない少しパサっとしたシフォンケーキ、どちらかを選ばないといけないとなったら、私は前者をつくりたい。
レシピや包装など、自分ができる最大限の工夫はもちろんするけど、長持ちさせるためのレシピの変更はしない。
howattoのお菓子を買ってくださる方にも少し協力(できるだけ涼しい状態でとか、そっと持ち運びするなど…)していただいて、おいしさを一緒に感じてもらいたい。ちょっとおこがましいかもしれないけれど…
シフォンはそっと持って帰らないとつぶれちゃう。
ビスコッティも上に物をのせたりすると割れちゃう。
チーズケーキも早く冷蔵庫に入れないと壊れちゃう。
でも、そのぎりぎりにあるおいしさってあるのかなって。
おいしいものってデリケートだけど、口に運ぶまでの工程も大切に一緒に楽しんでいただけたらと思っています。」
全俺が泣いて、感動の涙が止まらないよ…。
シフォンケーキもそうだけれど、チーズケーキのレアでトロりとした食感も、
「このお菓子には一番この食感と味が合うから」… つまり「一番おいしいから」ということで、実現されたものだったんですね…。
理由を聞くと「そりゃ当然そうだよねぇ…」と思うほどの潔さなんだけれど、
とことん追求して完成されているがゆえに、シンプルな言葉の中に驚くほどの奥深さを感じちゃうわけです…うっうっ(嗚咽)。
howattoのお菓子は、もちろん作り手の裕美ちゃんの腕と想いにかかってるところがあるんだけれど、そこに食べる側の気持ちもプラスされることで、本当のおいしさがちゃんと味わえる(伝わる)んだな…ってことに、改めて気づかされました。
…というわけで、まだチーズケーキに出会えてない方は、ぜひぜひ販売メニューをこまめにチェックして、ぜひご賞味あれ!
書いた人:板東悠希(Studio Bang-Do! ↵ スタジオ・バンドゥー)
徳島生まれの徳島育ち。
阿波弁と英語の“なんちゃってバイリンガル”。
屋号は「スタジオ」と銘打っていながらも手掛けるのは…
ライターとして雑誌(阿波おどりグラビア誌『阿波楽』)やwebサイト(瀬戸内Finder)の取材・原稿執筆をはじめ、
海外デザイナーやメーカーと日本企業とのやりとりの通訳・翻訳、アテンドをしたり、
日本の中小企業の輸出や海外展示会のサポートをしたり、はたまた、瀬戸内国際芸術祭2019のオフィシャルツアーガイドをしたり、
…と「スタジオ」っぽくない仕事ばかり。
…とはいえ、幅広いフィールドで活動中。
howattoのお菓子に出会ったときから、シフォンケーキもビスコッティも大好物となり、
新作のお菓子については、「連絡せずとも自動的に予約」を強制発動させることにしている。
おかげで、糖質制限ダイエットなど、考えたこともないし、考える余地もない…。